一番最初にピアスにしたカフスボタン

こちら、祖父の使っていたカフスボタンです。

母方の祖父は元気で朗らかな人で、普通にしていても目が笑っているように見える人でした。
農家の4男で、このままここにいても食べていけないからと単身、上京して製造業でずっと働いた人です。

会社ではいろいろアイディア商品を企画したりもしてたそう。
戦時中は軍から受注して武器関連の部品を製造したこともあったとか。
武器を作った製造業者はGHQに絞首刑にされると噂がたったときは、逮捕されるくらいなら自殺すると日本刀を用意しておいたり、最初の妻を病気で亡くしたりと苦労した時期もあったようですが、そういう話はあとから親戚から聞くくらいで、本人からは聞いたことはありませんでした。
私の知ってる祖父はゴルフとカラオケが大好きで、おんなじダジャレを繰り返して披露する、明るく社交的な人。

そんな祖父が90歳をすぎてお気に入りだったのが炭酸飲料CCレモンで
家には箱買いしたCCレモンが常備されてました。
10年前に95歳で大往生したときには、棺にお見送りでCCレモンをかけようか、と親族の間で話が出たほどです。
また、遺品整理ではほとんど空っぽの金庫から浮世絵の春画が出てくるという、
最後まで話題を提供してくれた人でした。

そんな祖父の形見に譲り受けたカフスボタン。
彼の、大変な時期を乗り切ったバイタリティを分けてもらいたく。

カフスボタンのままで持っているよりはピアスにしたほうが使いやすいと、ジュエリー屋さんに頼んでピアスにリメイクしてもらいました。
このときは10年後、アンティークマーケット巡りでカフスボタンを集めて自分でピアスに作り替えることに熱中するとは思いもよらなかったです。

目次