独身貴族のためのボタン

マーケットでピアスに作り替えられそうなカフスボタンを探す日々が続いています。

そんな中、ときどき見かける、裏側にバネのついた仕組みのボタンがあるのです。
Bachelor’s Button, 「独身者のボタン」と呼ばれているタイプだそうです。

1872年、ジョージ・ウェストが特許を取得した、簡単に取り外しのできる袖のボタンで、縫わなくてもいいことから「独身者のボタン」と呼ばれるようになったとか。

1896年によまれた詩で、恋人と別れて独身者のボタンを使うようになったと悲しむ男性の詩がありました。

私の訳で恐縮ですが以下の通り。
原文は参考文献リストの3番目をクリックされてください。

独身者のボタン

愛しい心、かつて私たちが婚約していたあの時
幸せの予感がしていたあの頃の
あなたの約束 私はそれを決して忘れない

ああ!おそらく、残念なことに、あなたは約束を守らなかった
あなたは言った 銀の音色のアクセントで
“コートのボタンは私が縫いつけてあげる “と

愛しい心、私たちが別れたあの日
あなたは私の妹になると言った
だから私は思った
私のコートにはあなたの愛しい手でボタンがつけられると
しかし、あれから年月が経ち、ここに記さねばならない
色あせてきたコートにはまだボタンが縫い付けられていないことを

愛しい心、私は年老いました ああ!私のコートも!
私のコートは乞食の背中に乗せられ、旅立ちました
私もすぐに後をおうでしょう、そして、空箱の中に入り込むでしょう
一途な想いを胸に、語り尽くせぬまま
そのときもしかしたら、あなたの約束が果たされるかもしれない
私の墓に独身者のボタンを縫い付けるでしょう

物悲しい秋向きの、情緒ある詩のご紹介でした^^

参考文献
West’s patent buttons HT Museum
Victorian 9ct Gold Cufflinks Bachelor Buttons Mayveda Antique
A BATCHELOR’S BUTTON P. V. M. ”Literary California, poetry, prose and portraits” Internet Archive

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