金曜日の(ちょっといわくつき)アンティークマーケット in London

テムズ川の南にあるバーモンジーでは、毎週金曜、屋外でアンティーク市場が開催されています。

ロンドン アンティーク市場

今でこそ朝6時に開催の市場ですが(それでも早いけど)かつては朝4時から開いていたそうです。

ロンドン アンティーク市場

なんでそんなに朝早くから営業しているのか。
冬は朝8時近くまで暗いロンドン。6時から明るいのは1年で3分の1くらいでしょうか。

近所から来る人ばかりでないでしょうに、なんでそんな時間から?
気になって調べたら面白い記事をみつけました。

30年前の1993年、ある中年男性が美術品オークションのサザビーズに絵画を持ち込みました。
絵画を鑑定したサザビーズの鑑定家は、一目見てその絵が18世紀のイギリスの画家・ゲインズバラの作品で、
さらに3年前に盗難届が出されていた作品だという事に気づきます。

すぐに事情聴取を受けることになった男性。
男性は「バーモンジー市場で購入した」と説明します。

実はバーモンジー市場、15世紀から続く「オープン・マーケット(market overt)」という、どろぼう市場の役割を持っていたそうです。

「オープン・マーケット」では、日の出から日没までの間は盗品を購入しても販売しても罪に問われない、
というびっくりな制度でした。

「オープン・マーケット」のロジックが面白かったので紹介させてください。

15世紀はまだ人々が自分の集落から外に出ることが少なかった時代。
そして、物品の売買をするのは集落で開催される市場だった時代です。

そういう時代、もし自分の所有物が盗まれ、転売されるとしたら自分の集落の市場の可能性が一番高い。
にもかかわらず近所の市場で売られているかどうかすら確認をしに来ないなら、所有者はそこまで盗まれた品を必要としていなかった、
だから盗品を売った人も買った人も罪を問われない、ということだそうです。

ちなみに被害者は夜が明ける前に市場に行って盗まれたものを探し、見つければ取り返せたそう。

あ、今はクリーンな市場です!

1993年のゲインズバラの絵画の所有者は弁護士会。
それがきっかけだったのでしょうが、1994年、法改正が行われ、オープン・マーケットが廃止されました。

ロンドン アンティーク市場

食器、アクセサリー、銀器、雑貨などさまざまなものが売られています。
冬場は店舗数も減りますが、お天気のよい、あたたかい日ならお店も人出も多いにぎやかな市場になります。

参考文献
Gainsborough bought at street market for pounds 85, Independent Saturday 06 March 1993 00:02
Market Overt Wikipedia
Loophole lets markets sell stolen goods, Independent 08 August 1992
Sale of Goods (Amendment) Act 1994, 1994 CHAPTER 32, legislation.gov.uk

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