軍服よさらば。終戦後のイギリスを垣間見られた1940年代のカフスボタン

支給された復員スーツを着て復員支援局をあとにする元兵士。パブリックドメイン、 Wikipedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Demobilisation_of_the_British_Army_BU8067.jpg#/media/File:Demobilisation_of_the_British_Army_BU8067.jpg

マーケットでカフスボタンを購入するとき、できればいつ頃のものかとか、どこのものかとか、分かれば教えてもらうようにしています。
ストーリーがあると愛着が増しますし、ご縁でうちに来てくれたのでその過去のことも知りたいし。

残念ながら多くの場合は、作られた年代がざっくりわかるくらい。
それでもときどき面白い話を聞くことができるのも、アンティークマーケットの楽しみの一つです。
今回ご紹介するのはそんな中、ちょっとだけ20世紀のイギリスの歴史に触れることができたカフスボタンです。

第二次世界大戦の終わったイギリスでは、戦争が終わった後も食材だけでなく衣類も配給が続いていました。
そんな中、兵役を解かれた兵士たちが大勢、戻ってきます。

多くの兵士たちは出兵時、衣類を処分していたそうで、市民生活を再開するため、退役兵たちへの衣類の支給が急務になりました。
そこでいくつかの衣類メーカーが政府から受注してスーツ一式「復員スーツ」が揃えられました。
英語では復員、demobilizationという言葉を縮めてdemob suits と呼ばれているそうです。

パブリックドメイン Wikimedia Commons

復員スーツは当時入手できる限りの最高品質の布が使われていたそうですが、とにかく生産がおいつかず、そのとき復員支援局にある在庫を支給されたので人によってはサイズが合わずだったことも。
また、同じ布、同じデザインのスーツが大量生産されたため、多くの人が同じスーツで外を歩いていたので「制服を着ているのと変わらない」と揶揄されたこともあったそう。

で、こちらがそのカフスボタン。3,4種類のデザインがあったそうです。
これを売ってくれた店主ご自身もカフスボタンのコレクターだそうで、だからこそ聞くことのできたお話だったのかもしれません。

カフスボタンからピアスを作っています。
できたピアスは「イヤリンクス」と名付けて、インスタグラムに投稿しています。

参考文献
Demob suit Wikipedia

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